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前回の記事はウルトラマンAの超獣をデザインし、第2次怪獣ブーム後半を牽引し、ブーム終焉時、その第2次怪獣ブームを総括するような大傑作ロボット怪獣メカゴジラを生み出した井口昭彦しについて語りました 井口氏は成田氏、池谷氏同様、怪獣ファンにとってリスペクトするべき偉大なデザイナーでありますが、そんな井口氏が「ウルトラマンA」終了後に手がけたのは「流星人間ゾーン」の恐獣のデザインであります 池谷氏が「帰ってきたウルトラマン」の怪獣デザインから降りた後「シルバー仮面」や「アイアンキング」などの円谷プロ以外のプロダクションの怪獣デザインを精力的に行っていたのと同様、井口氏も円谷プロ以外の特撮番組の怪獣デザインに着手していったわけですね そしてそんな井口氏がデザインを手がけた「流星人間ゾーン」はあのゴジラの東宝が初めてテレビ特撮に進出を図った番組であります もともとゴジラ映画の特撮を引き受けてきたのが円谷プロですから、東宝と円谷プロは縁が深く、この「流星人間ゾーン」も円谷プロのスタッフが大勢関わっていたらしく、デザイン担当の井口氏もそんな円谷組の1人でありました ヒーローであるゾーンの外見はウルトラ戦士そっくりの巨大ヒーローで、特撮に詳しくない人が見たら、ウルトラ兄弟の1人であると勘違いしてしまうことでしょう 第2次怪獣ブームの真っ盛りに放送されていた「流星人間ゾーン」、自分は確かリアルタイムで見ていたはずなのですが、なにせこの時期は毎週大量の特撮番組、怪獣番組がテレビで放送されていたため、それらに埋もれたようになって、ゾーンに関する細かいことは記憶が薄れてしまっています・・・・ しかしこの番組、主題歌は滅茶苦茶カッコ良くて今でもよく覚えてますね ぎーんがーをジャンプ! 宇宙をはーしーりー 次元を割いーて飛んでくるー すごーいあーいーつー りゅうせーいにんげんゾーーーーン! ゾーーーーン! ゾーーーーン! ぼーくらーのーなーかーまー! 子門真人さんが歌う特撮ソングの中でも屈指の名曲だと思います そんな流星人間ゾーン、ウィキペディアで調べてみたらおおよそ以下のような内容のものだったようです 凶悪な宇宙人に滅ぼされた平和な星ピースランド星 なんとか逃亡したピースランド星人の家族は地球に逃れ、そこを第2の故郷として暮らすことを決意するがガロガの魔の手は地球にまで及んできた ガロガの操る怪獣、恐獣は恐獣ミサイルによって地球に打ち込まれ、そこから現れる恐獣により地球は破壊の危機に晒される ピースランド星人の家族の3人の子供はそれぞれゾーンファイター、ゾーンエンジェル、ゾーンジュニアに変身し、さらにゾーンファイターは2段変身、巨大ヒーロー、流星人間ゾーンとなって恐獣に挑むのだった 宇宙から飛来した正義のヒーローが変身して、侵略者の手から地球を守る 当時大量生産されていた巨大ヒーロー特撮の典型とも言える内容であったようです あまりに典型的すぎて他のヒーロー番組との差別化が見出せなかったため幾多の番組の中に埋もれてしまったのでしょうか? 自分はなんとなくゾーンのことは覚えているのですが、詳しい内容はすっかり忘れてしまいました ゾーンに登場した恐獣についても、後にケイブンシャの「全怪獣怪人大百科」に掲載されていた白黒の小さな写真で見て、「そういえばこんな怪獣出ていたような・・・・」と曖昧な印象しかなく、マイナー怪獣一派の一言で片づけてしまった・・・・というのが正直なところです しかし、それから30年余りを経てネットを始めてから、この流星人間ゾーンに登場した恐獣デストロキングの画像を発見、それを見てハッと息を飲んでしまいました うわ! なんてカッコいい怪獣なんだ! その外見は首が2つとはいえ、自分には「メカニカルなキングギドラ」というべき怪獣だと思いましたね 後に平成ゴジラシリーズでメカギドラが登場するのですが、自分としては断然このデストロキングのほうが好みですね またその頭部は昭和ガメラシリーズ最後の敵怪獣ジグラにも似ています さらに全身にこれでもかというばかりに鋭い角、キバが生えまくっていて、まさに子供が悪ノリして描いた怪獣のようであります 大人的美的感覚から見ると呆れてしまうようなやりすぎのデザイン、しかしウルトラマンAの超獣が大好きな自分としてはこういうのは大好きです! そしてこのデストロキングが超獣的であるのも当然でデザインしたのはAで超獣をデザインした井口昭彦氏であったのです デストロキングの画像を見てからゾーンの恐獣に対して俄然興味が湧いてきましたが、やはりマイナーであるせいかネットでもなかなか画像を見かけません しかしつい先日、ある特撮掲示板でそのものズバリな「恐獣スレッド」を発見、いくつか画像を入手したのですが、これが想像を絶する素晴らしい怪獣であって、これまで恐獣に注目してこなかった自分を恥ずかしく思うほどであります そんな貴重な恐獣の画像を紹介しつつ、この素晴らしきゴテゴテケバケバ子供マインド全開怪獣達がこれから再評価されることを祈りたいと思います まず、この記事の1番上に乗せた恐獣スパイラー 前回の記事で「ウルトラマンAの超獣、ベロクロンとバキシムを合体させたような怪獣がゾーンに出ていたような気がします」というコメントを頂いたのですが、自分もなんとなく「そんな怪獣いたような気がしたなあ」と思っていました それがこのスパイラーであることは間違いありませんね 超獣ファンなら見てわかるとおり、あのベロクロンとバキシムをそのまま足して、2で割らずに足しっぱなしにしたような丸わかりの怪獣! 超獣の中でも特にカッコいい2体、ベロクロンとバキシムを合体させたら絶対にカッコ良くなるだろうと言う子供が思いついたようなストレートな発想をそのまま実現してしまった怪獣ですね 他の人がやったら「パクリじゃん!」言われてしまうようなところですがこのスパイラーをデザインしたのはベロクロンとバキシムをデザインした当の本人である井口氏ですから文句はありません(^^ そしてやはり最高にカッコいい超獣を2体合体させてしまったわけですから当然のごとく、このスパイラーも超カッコイイです! こんなにも凄い怪獣がゾーンに登場していたことにこれまで気づかなかった自分は迂闊でありました ちなみにこの画像が貼ってあった特撮掲示板には「パチモン怪獣カード、ヨコプロの臭いがする」、「大怪獣バキクロン、ベロキシムとか名前がつきそう」と書いてありました さもありなんという感じですw 人気怪獣を2つ、3つ、組み合わせてオリジナルな怪獣をデッチあげてしまうパチモン怪獣的発想が伺えてきますよね しかし、繰り返して言いますがスパイラーをデザインしたのはベロクロンとバキシムのデザイナーである井口氏 たとえパチモン臭くてもパチモンではなくれっきとした「公式怪獣」なのであります 続いてこの画像の恐獣はワルギルガー す、凄い・・・・・! この画像を見たときは息を飲んでしまいましたね 息を飲んでからしばらくして・・・・・ 「ちょwwwwwwおまwwwww」 と笑いが漏れてしまったほどです あまりに凄すぎて笑ってしまうほど、それだけ強烈なインパクトのある怪獣です まさにやりすぎの1歩手前というか・・・・その1歩を踏み越えてしまったかのような超絶デザイン! 自分はこれまでウルトラマンAの超獣を「怪獣の形態的進化の果てに行きついた究極のデザイン」であり「進化しすぎて奇形化してしまった」と言ってきましたがこのワルギルガーは、そんな超獣さえも遥かに凌駕していると思ってしまいました 超獣でさえ踏みとどまった1歩をひょいと飛び越え、なんだかとんでもないことになってしまった怪獣 竜のように長い首には無数のトゲトゲ、もうトゲというよりはムカデの足みたいに見えてしまいます その首にある顔は目玉の飛び出した虫のよう・・・・ユーモラスなのか不気味なのかもはやわかりませんw ナメゴン、ガンダーといったBEM系ウルトラ怪獣を思い出してしまいます そのボディはなにか鋼鉄の甲冑を着ているかのように見えます 型の部分は大げさなくらいに突き出していて、あたかもコウモリの翼のよう その甲冑に覆われていない腹の部分はキングギドラのそれそのもので黄金のうろこに覆われています さらに長い尻尾までもが宇宙怪獣の王者キングギドラのそれではありませんか! もうどこからつっこんだらいいのかわかりませんw このワルギルガーに比べたら「ゴテゴテケバケバ」と非難され続けた超獣なんて全然可愛いものです! しかしそれでも「なんだかスゲえ怪獣」という説得力を備えているように見えるのですから不思議です 第2次怪獣ブームがその進化の果てに辿り着いたのがこの壮絶な恐獣ワルギルガーではないでしょうか? うーむ、流星人間ゾーンには、他にもこんなとんでもない怪獣が出ていたんだろうか? 自分には想像がつかないです! さらに調べてみるとすごいことがわかりました ベロクロン+バキシム=スパイラー ムカデ+BEM+鋼鉄の甲冑+キングギドラ=ワルギルガー この2匹は「流星人間ゾーン」の第4話に同時に登場していたようなのです 1体ずつでもインパクト過剰な恐獣が同じ1つのエピソードで同時に登場するなんて贅沢というか、豪勢すぎてお腹がパンクしてしまいそうであります しかもそれだけにとどまらず、このエピソードにはなんとさらに、ゴジラまで登場しているのです! 流星人間ゾーンはゴジラ映画の東宝が製作したテレビ特撮番組でありますが、スクリーンの中こそが活躍の場だった大スターゴジラがゾーンには友情出演していました ゴジラはこの番組の中では正義の怪獣、ゾーンの味方であり、タッグを組んで恐獣と戦っていたのです スパイラー、ワルギルガー、そしてゴジラ あまりに凄すぎてこちらの脳の容量をオーバーしてしまいそうです なにもそこまでと思ってしまいますが、あの怪獣王ゴジラを相手にするには生半可な怪獣では務まらず、これだけの怪獣が2匹そろって初めて対戦カードが実現する、ということなのかもしれません ゾーンはこのエピソードの次にはなんとキングギドラが登場、ゾーンと戦っています 映画のキングギドラの別名が「宇宙超怪獣」であるのに対しゾーンのギドラは宇宙超恐獣 このことからゾーンに登場したキングギドラは映画に登場したギドラとは別物ではないかと言われています 自分もゾーンギドラは映画とは別だと捉えていますね なんというか個人的に全怪獣の中でも最強と思っている宇宙の王者キングギドラはテレビサイズの小さな画面で暴れるのは少々役不足、さらにガロガ星人という宇宙人に操られているという設定が不満なため、「ギドラにそっくりな別の怪獣」あるいは「映画に登場したギドラとは別の個体」であると思う、というか思いたいです しかしゴジラ、キングギドラという大スター怪獣を出演させてしまうのですから「流星人間ゾーン」という番組は実に豪華でありますね 井口昭彦氏は他にもゾーンの恐獣をデザインしているようで・・・・・というか全ての恐獣をデザインしているのだったかな? とにかくこのスパイラー、ワルギルガー、デストロキングといったメンツを見ただけで、凄い怪獣を作っていたんだなあ、と思い知らされてしまいます やりすぎだと叩かれていたウルトラマンAの超獣、そのさらに先の世界へ井口氏は踏み入っていたのですね それはあまりに先に進み過ぎていて、当時は付いていける人がなかなかいないため正しく評価されることのないまま今に至ってしまったようであります が、時を経てこうして井口氏の超絶的なゾーン恐獣デザインを見ていると、「怪獣デザイン臨界点突破!」ともいうべき素晴らしい創作の数々を称賛せずには居られません ブーム当時、確かにゾーン恐獣は時代の仇花でありました しかし現在の特撮デザイン、最近始まったばかりのゴセイジャーの敵、ウォースターのデザインなどを見ると、井口デザイン的なセンス、子供っぽい遊び心をふんだんに盛り込んだ感覚が伺えてくるように思うのです ゴテゴテでケバケバしいけど、それでも滅法カッコいい! 超獣→恐獣→ウォースター 時代を経て仇花はその種子を芽吹かせ、未来に咲き誇る そんな風に思ってしまいますね 21世紀、ようやく時代は井口怪獣、ゾーン恐獣に追いついた、あるいはこれから追いつき、正しく再評価されていくのではないかと思います ゾーンの恐獣については自分もまだまだ不勉強でわからないことばかりなのですが、しかし間違いなく第2次怪獣ブームという時代が現在に、あるいは未来に残した大いなる遺産であることに間違いはないと思います これからもゾーンの恐獣に注目していこうと思っています 最後にシップドローという恐獣の画像 うーん、ウルトラマンAの超獣キングカッパーにスペクトルマンのヘドロンを合体させたような感じに見える恐獣ですね これはちょっとどうだろう? でも今後高く評価されるかもしれない、未来感覚先取り過ぎの怪獣かもしれません! っていうか、自分は結構好きです(^^ #
by pulog1
| 2010-03-31 20:09
みなさんお久しぶりです なんだかんだで忙しくネットに顔を出すことが出来ませんでした なかなかブログの更新が出来ず、さらにコメントのレスも出来ないまま溜まっています 自分は怪獣ブログを書くことの大きな理由の1つにブログを読んで下さった方からのコメントを読むことがあるのですが、時間をやりくりするのがヘタなため、コメントにレスをすることがなかなか出来ないままでいます 本当に申し訳御座いません 前回の記事のコメントで「無理にレスをしないでもいいですよ」、「レスに時間を取られて記事の更新が遅れるくらいならレスをしなくてもいいのではないか?」という、こちらをいたわってくださる書き込みを頂き、申し訳なく思うと同時にホッとしたような気持ちになりました 自分は怪獣ブログを読んで下さるみなさん、コメントしてくださるみなさんとコメントへのレスという形でコミュニケーションをとりたいと思っているのですが時間的な関係で現在それがちょっと難しくなってきた、というのが本音でありまして、大変申し訳ないのですが、しばらくの間コメントへのレスを控え、その分ブログの記事をもっと進めていこうと思います コメントしてくださったみなさん、申し訳ございません レスは返せないのですが、みなさんのコメントは非常に励みになり、ブログを続けていくことの原動力になっています 非常に勝手な言い分かもしれませんが、みなさんよろしければこれからもぜひ怪獣ブログにコメントをおよせくださいませ 自分からはレスが返せない状況なのですが、怪獣ブログの各記事を「怪獣個別ごとのスレッド」とした掲示板としてみなさんに活用して頂き、楽しんで頂ければ幸いです もちろん、一切のレスを停止するというわけではなく、時間が出来次第少しずつレスしていきたいと思っています みなさんからのコメントは自分にとって重要な怪獣についての情報源であり、非常に参考になり勉強になります コメントによって得たものをブログの記事の中で反映していきたいと思っています 今はそういう形でしか読者の皆様とコミュニケーションしていくことしか出来ないのですが、なにとぞご了承くださいませ 皆様、本当に大変申し訳ございません どうぞこれからも怪獣ブログをよろしくお願い致します! さて、前回の記事では第2次怪獣ブームにおける怪獣デザイナー、池谷仙克氏の功績の大きさについて書きましたが、池谷氏は第2次怪獣ブームの火付け役とも言える「帰ってきたウルトラマン」の怪獣デザインを途中で降板してしまいます しかし「帰ってきたウルトラマン」は池谷氏なき後も次々と独創的な怪獣を創出していきました 「帰ってきたウルトラマン」の池谷氏の後を引き継いだ怪獣デザイナーの1人に池谷氏と同じく武蔵野美術大学出身の井口昭彦氏がいました 井口氏は本名、高橋昭彦の名で「ウルトラマン」、「ウルトラセブン」の美術スタッフとして活躍し、「帰ってきたウルトラマン」で池谷仙克氏の後を引き継ぎ怪獣デザインに着手します wikipediaの井口昭彦氏の項目を見ると彼がデザインを手がけた怪獣の一覧を見ることが出来るのですが「帰ってきたウルトラマン」では、あのプリズ魔をデザインしたのが井口氏だったのですね プリズ魔は怪獣のデザイン面における常識を覆した画期的な存在です それはある意味、怪獣の形態的側面の臨界点にまで達してしまった、「究極的な怪獣デザイン」ともいうべきもので、ひたすら怪獣と言う存在を突き詰めていった果てに垣間見える抽象的概念の視覚化とも言えるものでした こんな究極的怪獣デザインを作り上げてしまうだけでも井口氏はただものではなく、優れた才能の持ち主であることがわかります 怪獣デザインを手がけてまだ間もない頃に、「怪獣のゴール地点」といえるものを作り出してしまった井口氏ですが、その後はプリズ魔とは逆のベクトルに進んだかのような、具象的怪獣デザインの方向に向かいます それは成田亨、池谷仙克の2人が成し遂げた「怪獣を美術、芸術の側面から見た場合も高い評価が得られる」ものにまで押し上げた功績に対して、あたかも反旗を翻すかの如く、もっと即物的な要素を怪獣にとりいれていくという方向です それは「帰ってきたウルトラマン」ではかっこいいことが前提である怪獣を真逆の方向、「ブサイク」な怪獣を追求したかのように見えるヤメタランス 子供が積木やガラクタを組み上げて作ったかのようなファニーでユーモラスなビルガモなどから伺えます 成田氏や池谷氏がやらなかったことをやってやろう、という気概が井口氏にはあったのではないかと思えてきます また井口氏は怪獣にメカニズムの要素を加えていくという手法にも積極的であったようで、ロボネズやキングボックルなどは怪獣とメカ、ロボットの中間ともいえるものでした こうした井口氏のデザイン方針は「帰ってきたウルトラマン」の後番組「ウルトラマンA」の超獣デザインにおいて飛躍的に開花していきます 怪獣をさらに超えた新しいスタイルのモンスターである超獣は、兵器、メカと怪獣の融合した斬新なデザインで成田、池谷氏の怪獣とは明らかに毛色が違っていました それら超獣の初期傑作群、ベロクロン、カメレキング、バキシム、ガラン、ブロッケンなどを井口氏は手がけています ニュータイプの怪獣である超獣は、成田、池谷怪獣を高く評価する昔からの特撮、怪獣マニアからはたびたび「ゴテゴテしている」、「ケバケバしい」、「子供っぽい」などと批判されていましたが、こうした即物的とも言える数々のデザインは遊び心に富み、子供たちには非常に人気が高く、当時の子供たちが描く「ぼくのかんがえたかいじゅう」はほとんど超獣的なものばかりになるほどでしたね 角やトゲが体中にいっぱい生えている、原色のいろんな色で体の各パーツが塗り分けられている、体にミサイルや砲塔などが装備されている・・・・・ かくいう自分も超獣みたいな怪獣の絵をいっぱい描いていました 芸術性やらなにやら難しいことを考えずに好きなように、自分がかっこいいと思った思い付きをひたすら盛り込んで怪獣の絵を描くことはとても楽しかったです そんな楽しさ、いうなれば「子供マインド」が超獣にはありましたね 気難しい怪獣マニアには受けが悪かった超獣ですが、子供たちの大きな支持を得たことにより、第2次怪獣ブームにおいて新しい怪獣の潮流を築きました この超獣マインド、子供っぽい遊び心にあふれたデザインセンスは第2次怪獣ブーム中盤における怪獣デザインの主流となり、、サンダーマスクの魔獣、仮面ライダーV3のデストロン怪人、またやはり井口氏がデザインを手がけた「流星人間ゾーン」の恐獣などに引き継がれていきます アニメにおける敵キャラ、ゲッターロボのメカザウルス、ライディーンの化石獣や巨烈獣、コンバトラーVの奴隷獣なども超獣デザインの後継者と言えると思います 井口氏のデザインした怪獣は第2次怪獣ブーム後半を牽引し、ブームをさらに長く存続させる大きな役割を果たしたものであり、後に続く巨大ロボットアニメブームへの布石となるのでした 池谷仙克氏と並び、井口昭彦氏は第2次怪獣ブームにおける重要な存在であるのです そんな井口氏の超獣から連なる怪獣とメカの融合という方法論の集大成が第2次怪獣ブームの終焉とも言える時期に発表した究極のメカ怪獣、メカゴジラであります 怪獣とメカの最高にカッコよく美しいスタイルが、その頂点で交差し合致した、現在においてもその追随を許さないメカ怪獣の最高峰メカゴジラ 芸術性から真逆に突き進んだ果てに辿り着いたのは、それでも芸術と呼ばざるを得ないほどの完ぺきなスタイルに至ったメカゴジラだったのであります 抽象的怪獣の到達点プリズ魔からはじまり具象的怪獣の頂点とも言えるメカゴジラに至ると言うその道程はなんだか不思議に感慨深くありますね また井口氏は長らく、ガイガンのデザイナーではないかと噂されてきました ガイガンのデザイナーは水氣隆義さんですが、なぜかガイガンのデザイナーは「井口昭彦氏がデザインしたもの」と間違った情報が流れ、出版物などでもそう表記されていたのです サイボーグ怪獣であるガイガンは、まさに怪獣とメカの融合という後の超獣デザインの先駆けともいえるもので、ガイガンを井口氏のデザインしたものだと思い込んでしまう勘違いも無理はなかったのかもしれません そして井口氏の超獣は水氣氏のガイガンから影響を受けていたのかもしれませんね 井口氏のデザインした超獣の中で個人的に気に入っているのはウルトラマンA「エースの命、セブンの命」に登場したファイヤーモンスです TACの開発した新兵器シルバーシャークの強奪を企む宇宙人、ファイヤー星人の操る超獣ですが、実にユニーク、ユニークすぎるあまりユーモラスにも見えてしまう面白い超獣です ブルーを基調とした体に赤い独特の形状の大きな角、そして何本もの鋭角的な棘状突起が体に生え、さらにそんな角や棘と見まがう大きなくちばしを持った超獣です 超獣らしからぬつぶらな瞳が可愛らしく、なんだかカモノハシに似ているように思えます そんなユーモラスな外見に似合わずファイヤーモンスは非常に強い超獣で、ファイヤー星人から与えられた炎の剣を振り回し、なんとウルトラマンAを1度は倒してしまった実力者であります ウルトラマンA必殺のメタリウム光線を炎の剣ではじき返し、返す刀でAをつき刺し、Aはファイヤーモンスに倒され・・・・というか殺されて命を失ってしまったのでした 死んでしまったAの前に光の国からかけつけたウルトラセブンが現れ、セブンは自分の命を半分を与え、Aを蘇生させました 蘇ったAは再びファイヤーモンスと対決! そして戦いの最中TACは新兵器シルバーシャークを発射し、ファイヤーモンスを葬ったのでした・・・・ え? 結局これはファイヤーモンスはAには倒されず、TACの新兵器でようやく倒されたということですよね? 1度はウルトラマンに完勝し、その命を奪うまでしたが、最後は人間の開発した兵器で倒される これって、ゼットンと同じなのでは? もしかしてファイヤーモンスってゼットンと同じくらい強かったのではないでしょうか? ファイヤーモンスってどちらかというとマイナーな怪獣(超獣)だと思っていたんですけど、実はゼットンと並ぶほどの強敵怪獣なのかもしれません! そのせいか放送当時はもうひとつ知名度の低かったファイヤーモンスが最近ネットなどではこの超獣に注目しているとみられる書き込みがちらほらと見かけられますね 時代を経て再評価が高まっているファイヤーモンス もしかしたらこれから新しいウルトラシリーズなどで復活するかもしれません ちなみにファイヤーモンスを操るファイヤー星人ですが、これもファイヤーモンスにまけず劣らずユニークなデザインで自分はかなり好きですね なんというか「折り紙で作ったタコ」みたいな大きな頭部を持った宇宙人です ファイヤーモンスを倒された後、仇を取ろうと巨大化しAに向かっていきますが返り討ちにあって倒されてしまいます ファイヤー星人もファイヤーモンス同様、目がつぶらでなんか可愛いと思ってしまいますw #
by pulog1
| 2010-03-24 17:31
みなさん毎度のことながらなかなかコメントに返信出来ず申し訳ありません 今日は休みなので出来るだけレスをしようと思っていたんですが少ししかレスすることが出来ませんでした また日を改めて溜まったコメントのレスを少しずつ行っていきますのでもう少々お待ち下さいませ 今日はコメントのレスがはかどらなかったお詫びも込めて記事の更新を致します 前回のサドラの記事では本当は第2次怪獣ブームにおける池谷仙克氏の貢献の大きさについて語るつもりでいたのですが、思っていた以上に記事が長くなってしまい結局、最初に予定していたものを書けずに終わってしまいました なので今回は前回書けなかった「第2次怪獣ブームに怪獣デザイナー池谷仙克が果たした大きな貢献」について書こうと思います 今回はpixivで怪獣イラストを発表なさっておられる「走り坊主」さんから池谷仙克氏の怪獣デザインリストを御借りさせていただきましたので、リストを参照しながら記事を進めていこうと思います 池谷仙克氏は成田亨に師事し、成田氏がウルトラセブンの怪獣デザインを降板した後、師の後を引き継ぎます 第1次怪獣ブームにおける池谷氏の仕事の代表的なものはウルトラセブン後半の怪獣、宇宙人デザインであります リストでは池谷氏デザインによるウルトラセブンは以下の通りになっております セブン(1967~1968) 星人の宇宙船 31話 悪魔の住む花 宇宙細菌ダリー(初怪獣デザイン) 32話 散歩する惑星 メカニズム怪獣リッガー(マンダラ星人?) カプセル怪獣アギラ(命名も:円谷粲(あきら)から) 33話 侵略する死者たち 蘇生怪人シャドウマン(ユーリー星人?) 34話 蒸発都市 発泡怪獣ダンカン 35話 月世界の戦慄 月怪獣ペテロ 復讐怪人ザンパ星人 36話 必殺の0.1秒 催眠宇宙人ペガ星人 37話 盗まれたウルトラ・アイ マゼラン星人マヤ 38話 勇気ある戦い ロボット怪獣クレージーゴン(バンダ星人?) 39話 セブン暗殺計画(前篇) 剛力怪獣アロン 分身宇宙人ガッツ星人 40話 セブン暗殺計画(後編) 分身宇宙人ガッツ星人 41話 水中からの挑戦 カッパ怪獣テペト (怪獣デザインコンテスト金賞 回転サイボーグ デイクロス・レイザのリデザイン) 水棲怪人テペト星人 42話 ノンマルトの使者 タコ怪獣ガイロス (怪獣デザインコンテスト銀賞 ガイロス星人のリデザイン) 海底原人ノンマルト 43話 第四惑星の悪夢 ロボット長官 ロボット署長 第四惑星人 44話 恐怖の超猿人 宇宙猿人ゴーロン星人 猿人ゴリー 45話 円盤が来た サイケ宇宙人ペロリンガ星人 44話 ダン対セブンの決闘 ロボット超人にせウルトラセブン 侵略星人サロメ星人 カプセル怪獣アギラ 46話 あなたはだぁれ? 集団宇宙人フック星人 47話 史上最大の侵略(前編) 幽霊怪人ゴース星人 双頭怪獣パンドン 48話 史上最大の侵略(後編) 幽霊怪人ゴース星人 双頭怪獣改造パンドン 未成作 史上最大の侵略 ゴース星人変身体 没シナリオ 湖底の叫び声 水棲獣人ピニア(水棲人ピニア・ピニア星人とも) (着ぐるみは完成、頭部デザイン・色彩を変更しペロリンガ星人に) ヤモ (リッガー、キングザウルス三世の間に入る四足型怪獣デザイン) 補足:ウルトラセブン幻の最終回を雑誌誌面で再現した企画 宇宙人15+怪獣35 宇宙獣神ゴード (2008年「フィギュア王No.118」の企画でビリケン商会とマルサンがソフビとして立体化、誌上限定発売) 続いて第2次怪獣ブームが始まり、池谷氏は「帰ってきたウルトラマン」の怪獣デザインを担当 ってきたウルトラマン(1971~1972) 1話 怪獣総進撃 凶暴怪獣アーストロン ヘドロ怪獣ザザーン オイル怪獣タッコング 2話 タッコング大逆襲 オイル怪獣タッコング 3話 恐怖の怪獣魔境 岩石怪獣サドラ 4話 必殺! 流星キック 古代怪獣キングザウルス三世 5話 二大怪獣東京を襲撃 地底怪獣グドン 古代怪獣ツインテール 6話 決戦! 怪獣対マット 地底怪獣グドン 古代怪獣ツインテール 7話 怪獣レインボー作戦 透明怪獣ゴルバゴス 8話 怪獣時限爆弾 爆弾怪獣ゴーストロン 9話 怪獣島SOS 古代怪獣ダンガー 10話 恐竜爆破指令 化石怪獣ステゴン 11話 毒ガス怪獣出現 毒ガス怪獣モグネズン 12話 怪獣シュガロンの復讐 音波怪獣シュガロン 32話 落日の決闘 変幻怪獣キングマイマイ(幼虫・成虫) 1話から12話までの初期怪獣、そして32話のキングマイマイをデザインしました 自分は「帰ってきたウルトラマン」では池谷氏はもっと多くの怪獣を担当していたのかと思っていたのですが意外に少なく、第2次ウルトラシリーズにおける池谷デザイン怪獣は上記のものだけとなります これだけ見ると池谷氏は第2次怪獣ブームにおいてそんなにたくさんの怪獣を作っていなかったかのように見えるのですが、実は池谷氏がこの時代に果たした貢献はウルトラシリーズよりむしろそれ以外の特撮番組においてだったのです この時代、円谷プロはウルトラシリーズ以外でも巨大特撮ヒーロー番組を積極的に製作していました ミラーマン、ファイヤーマン、ジャンボーグAなどの番組です そのうちミラーマン第4話に登場した怪獣マルチは池谷氏の手によるものです そしてファイヤーマンでは池谷氏は全ての怪獣をデザインしています ファイヤーマン(1973) 1話 ファイヤーマン誕生 ドリゴン ドリゴラス 2話 武器は科学だS・A・F ドリゴン ドリゴラス 3話 謎の宇宙船 ステゴラス メトロール星人 4話 インベーダーを撃滅せよ ステゴラス メトロール星人 5話 ジュラ紀へ落ちた少年 ジュラザウルス 6話 遊星ゴメロスの秘密 スペーザー 7話 恐怖の宇宙細菌 キノクラゲス 8話 ミクロ怪獣の恐怖 クマゴラス 9話 深海からの挑戦 ネロギラス グドン ステゴラス ロドグロス 10話 鉄の怪獣が東京を襲った バランダーV バランダ星人 11話 よみがえる岩石怪獣 スコラドン 12話 地球はロボットの墓場 ティラザウルス バローグ星人 13話 竜神沼の恐怖 ドランゴ 14話 海を突っ走れ チラノドン 15話 ベルダー星M13号指令 ラノザウルス ベルダー星人 ティラザウルス 16話 奪え! ファイヤースティック ロングネック アルタ星人 17話 マグマに消えたファイヤーマン キングザウラ サルファ星人 18話 やったぞ! ファイヤーダッシュ キングザウラ サルファ星人 19話 宇宙怪獣対原始怪獣 マクノザウルス ムクムク 20話 怪獣ガガンゴの嵐 ガガンガ ガガンゴ星人 21話 殺しの使者デコンとボコン ダブルゴット デコン ボコン 22話 来たぞ!! 変身宇宙人 プリマ星人 デストロザウルス 23話 ファイヤーマンを殺せ! グリーン星人 グリーンギラー 24話 夜になくハーモニカ ハモニガン 25話 帰る星なき宇宙人 ヴィレナス星人 26話 夕日に光る岩山の秘密 ガドラザウルス 27話 死人をあやつる宇宙の支配者 ブラッカー ブラックサタン 28話 アルゴン星から来た少年 デビルザウルス ベムサキング ベムタン アルゴン星人エムサ 29話 射つな! 怪獣だって友達だ スペーグス スペーグスJr. 30話 宇宙に消えたファイヤーマン ダークマンダー 飛行物体X 恐竜を素材として出来るだけ手を加えず、素材の持ち味を生かしたシンプルな怪獣が多かったファイヤーマン怪獣ですが、これは「帰ってきたウルトラマン」における王道恐竜型怪獣アーストロンの路線をさらに追求したものであるように思え、ファイヤーマン怪獣における池谷氏のテーマは「王道怪獣の追求」であったのではないかと思えてきます そして第2次怪獣ブームでは円谷プロ以外のプロダクションも多数「怪獣番組」に進出した時代であります 怪獣ブームの基盤はやはり円谷プロによって築かれたものだと言っていいと思いますが、しかし1つのプロダクションにとどまらず多くの番組製作プロダクションが参加していたことも怪獣を空前絶後の大ブームに押し上げた大きいでしょう そうした円谷プロ以外の特撮番組における怪獣たちは、怪獣をより豊かなバリエーションに富ませ、進化発展させていきました そんな中、池谷氏は宣弘社の「シルバー仮面」、「アイアンキング」にデザイナーとして参加し、実に多様多彩な怪獣を描きました シルバー仮面(1971~1972) 1話 ふるさとは地球 チグリス星人 2話 地球人は宇宙の敵 キルギス星人 3話 父は炎の中に シャイン星人 4話 はてしなき旅 ピューマ星人 5話 明日のひとみは… ジュリー星人 6話 さすらいびとの荒野 ゴルゴン星人 7話 青春の輝き キマイラ星人 8話 冷血星人の呼び声 ソロモン星人 9話 見知らぬ街に追われて ドミノ星人 10話 燃える地平線 タイタン星人 補足:「シルバー仮面ジャイアント」では池谷氏が直接デザインはしませんでしたが助手にヒントを与えデザインさせたものであったそうです シルバー仮面ジャイアント(助手にヒントを与えデザインした:本人談) 11話 ジャンボ星人対ジャイアント仮面 サザン星人 12話 恐怖のサソリンガ ローム星人 サソリンガ 13話 サソリンガ東京猛襲 サソリンガ 14話 白銀の恐怖 ノーマン星人 15話 怪奇宇宙菩薩 ボルト星人 16話 爆発!! シルバーライナー モーク星人 17話 シルバーめくら手裏剣(大阪SOS)モーク星人 18話 一撃! シルバー・ハンマー エマー星人 怪獣ヤマシロ 19話 逆転 シルバー旋風斬り キュリー星人 ギラスモン 20話 必殺!! シルバーミサイル インバス星人 21話 シルバー アローがえし ガイン星人 22話 弾丸!! ミサイルキック ゾール星人 23話 東京を砂漠にしろ!! フンドー星人 24話 標的はあなた!! バーナー星人(一般公募作のリデザイン) 25話 輝け!! シルバーレインボー アクリオン星人 26話 アンドロメダ 2001 ワイリー星人 アンドロメダ星人 シルバー仮面の宇宙人は、実験的、抽象的なデザインであるものが多く、これは師匠である成田亨氏の影響が大きいものであるように思えます また「シルバー仮面」の続編「シルバー仮面ジャイアント」の宇宙人、怪獣は「シルバー仮面」の宇宙人に比べややインパクトが弱く、別なデザイナーの手によるものではないかと思っていたのですが、やはりそうであったようですね そして「アイアンキング」ですが、これは番組が3部構成になっておりまして、それぞれ傾向の違う3つのタイプの怪獣が登場することになります アイアンキング(1972~1973) 不知火一族(不知火族) 不知火ロボット 1話 朝風の密使 バキュームロボット バキュミラー 2話 廃墟の白鳥 切断ロボット ジャイロゲス 3話 戦士の微笑 分身ロボット ダブルサタン 4話 弦太郎孤独旅 火炎ロボット デビルタイガー 5話 秋風の中の決斗 弾丸ロボット モンスターゾロ 6話 戦士の子守唄 連射ロボット ブラックナイト 爆弾ロボット ブロンズデーモン ジェットロボット モンスターバード 7話 大空を征く者 ジェットロボット モンスターバード 8話 影の地帯 戦車ロボット シルバーライダー ハンドミサイルロボット ゴールドファイアー 9話 弦太郎危機一髪! ハンドミサイルロボット ゴールドファイアー 10話 死者へのくちづけ ハンドミサイルロボット ゴールドファイアー 怪獣ロボット ザイラユニコン 怪獣ロボット軍団 独立幻野党(幻兵団) 鋼鉄の同志 11話 東京は燃えている 怪獣ロボット ザイラユニコン 12話 東京非常事態宣言 怪獣ロボット トンガザウルス 13話 地下要塞攻撃命令 怪獣ロボット トンガザウルス 14話 脳波ロボットの秘密 怪獣ロボット ジュラスドン 15話 マラソン怪獣カプリゴン 怪獣ロボット カプリゴン 16話 トラギラスを倒せ! 怪獣ロボット トラギラス 17話 アイアンキング殺害命令 怪獣ロボット ドジラ 18話 ロボット怪獣全滅作戦 怪獣ロボット クマゴロス 怪星人 タイタニアン 宇虫人タイタニアン 宇虫怪獣 19話 大虫人カブトロン出現 宇虫怪獣 カブトロン 20話 宇虫人タイタニアンの逆襲 宇虫怪獣 カブトロン 21話 カマギュラス殺人ガスを狙う 宇虫怪獣 カマギュラス 22話 恐怖のタイタニアン地獄 宇虫怪獣 キリギロン 23話 女に化けた虫人 宇虫怪獣 カンガロール 24話 東京攻撃前線基地 宇虫怪獣 ゴキブラー 25話 アイアンキング大ピンチ! 宇虫怪獣 クリケットン 26話 東京大戦争 宇虫怪獣 クリケットン 未成作 アイアンキング準備稿(アレンジしてバキュミラーに転用) 高村ゆき子の不知火ロボット(高村ゆき子役・森川千恵子降板により未登場) アイアンキングはシリーズ通して3つの敵組織と対決するのですが、その組織ごとに登場怪獣のスタイルが異なっています 第1の敵は日本征服をたくらむ不知火一族、彼らは巨大ロボットを操り国家を転覆し権力を握ろうとたくらむのです 第2の敵はテロリスト集団「独立幻野党」 彼らも巨大ロボットを操るのですが不知火ロボットが人間型ロボットであるのに対し、彼らのロボット「鋼鉄の同志」は怪獣型ロボットです そして最後の敵、宇宙からの侵略者タイタニアンは、自ら巨大化し、そして昆虫タイプの怪獣へと変身するのです 人間型巨大ロボット、怪獣型ロボット、そして巨大昆虫怪獣と実に3つのバリエーションを1つの番組の中で展開していきました 池谷氏のデザイナーとしての旺盛なチャレンジ精神が伺えてきます このようにリストを見ていくと第2次怪獣ブームにおいて怪獣がバリエーション豊かに進化発展していったことに対し池谷氏は大きく功績していったのだと改めて思いますね デザイナーとして第1次怪獣ブームを牽引していったのは成田亨氏でありますが、第2次怪獣ブームを牽引していったのはその成田氏の弟子である池谷仙克氏であったと思います 第1次怪獣ブームが怪獣デザイン革命の時代であるとしたら、第2次怪獣ブームは多様性の時代であった そんなふうに言えるのではないかと思いますね この池谷デザイン怪獣リストを見ると、実に様々なことが読み取れる気がします 怪獣ブログではこれからもこのリストを参照しながら、また記事を書いていこうと予定しています さて、池谷デザイン怪獣の中で今回はアイアンキングの不知火ロボットにスポットを当ててみようと思います 巨大ロボットはアイアンキング以前にも特撮番組に登場してきましたし、アニメでは「鉄人28号」の敵ロボットがシリーズ通してのヒーローの敵キャラとして登場していました ただ実写番組に置いてシリーズ通して敵を巨大ロボットで行こうと言う方針で攻めてきたのは「アイアンキング」が初ではなかったかと思います 実際はシリーズ中盤でロボットではあるけれど見た目は怪獣の独立幻野党の「鋼鉄の同志」、そして終盤ではロボットではなく宇宙人の変身した昆虫怪獣とスタイルを変えるのですが、しかしシリーズ前半の不知火ロボットは、これまでアニメのお株だとおもっていた人間型巨大ロボットが実写で登場し、ビジュアル的に実に新鮮に思えましたね 怪獣的であるけれど、これまでの怪獣とはまた違った新しさが感じられました そしてなにより不知火ロボットは滅茶苦茶カッコよかったんですよね 敵ロボットではあるのですが、そのプロポーションとかフォルムはヒーローに近いものに見えました しかしヒーロー的であると同時にやはりどこか邪悪さも感じられるもので、そのダークヒーロー的なビジュアルにグっと来てしまいます 第1話に登場した不知火ロボット第1号バキュミラーはなにか仏像、観音像のように見えて、これはウルトラマンのデザインが仏像や観音像からインスパイアされていたのではないか?という特撮ファンの間で有名な話を思い出させます また鬼のようにも見えますね 「鬼」という怪獣登場以前に日本人にとっての恐怖の対象を想起させるところは「2000年前から日本の征服を狙っていた」という不知火一族にふさわしく思えます そしてやはりアニメ「鉄人28号」の敵ロボットを思わせますね 池谷氏がウルトラマン、また鉄人28号の敵ロボットを念頭に置いていたのか否かはわかりませんが、いわゆる従来の「怪獣」とは違った新しいタイプのモンスターをクリエイトしようとする意志が伺える気がしますね 仏像や鬼という日本古来のモチーフとロボットという未来的感覚を同時に併せ持っています そこがまた「2000年もの間、少数民族として権力から迫害され続けてきた一族」であり「革命を起こし新しい時代を築く野望」を抱く不知火一族らしく思えてきます バキュミラーは不知火ロボット第1号としてふさわしいと言えるでしょう バキュミラーの特徴は左手が右手よりも大きく、その手であらゆるものを掃除機のように「吸引」してしまうというところですね バキューム(吸引)がその名前の由来です 老婆に変装した不知火一十傑集の1人が炎の形をしたコントローラーで操縦 不知火一族を倒すため日本政府が送り込んだエージェント、静弦太郎を葬ろうとしますが、現れた巨大サイボーグ、霧島五朗が変身するアイアンキングに挑まれ戦闘開始、1分と言う短い時間しか戦えないアイアンキングですがなんとかバキュミラーを撃退、再びバキュミラーは弦太郎を狙って現れますがアイアンキング、そして変身できない生身の人間ながら勇敢な静弦太郎のアイアンベルト(鋼鉄製伸縮自在のベルト)が応戦、最後は弦太郎が不知火の刺客から奪ったコントローラーを投げつけられて爆発するのでした ん?不知火ロボットってコントローラーを投げつけられたら爆発するのか? 確かに制御装置であるコントローラーを破壊されたらロボットはおしまいかもしれないけど爆発までするのはちょっと驚き そしてアイアンキングじゃなくて人間である静弦太郎に止めを刺されるというのも予想外でしたね でも特撮番組では珍しかった巨大敵ロボットとして強いインパクトを視聴者に与え、その後の番組展開に期待を抱かせる大きな働きを果たしたと言えましょう 「アイアンキング」は登場人物、静弦太郎、霧島五朗の実に70年代的な破天荒で爽やかな若者コンビのキャラクターの秀逸さや、時代劇の忍者を思わせる敵組織、いや組織と言うより軍団、一族といったほうがしっくりくる不知火一族の、敵とは言え長い歴史の中で権力から迫害され続けてきた少数民族という一筋縄ではいかないバックグラウンドを持った存在の異色さ、また作品全体を通して語られる思想的対立や、多数派民族と少数民族、国家の意志と正義とは本当に一致するものなのかという疑問をテーマとして投げかける姿勢など、語るべきことの多い作品であります 今回の記事ではそのあたりのことを触れられず残念ですが、また機会を見てアイアンキングを取り上げたいと思います それでは今回はこの辺で #
by pulog1
| 2010-02-18 00:16
1966年、「ウルトラQ」の放送が始まりテレビに怪獣が毎週のように登場すると言う怪獣ブームが始まりました そしてそのブームはウルトラマンレオの放送が終了する1975年、約10年間続くわけですが、この10年間のうち、1次的にブームが下火になる時期があるんですよね ウルトラQ,ウルトラマン、ウルトラセブンと続いたウルトラシリーズはいったんシリーズを中断 その数年後に「帰ってきたウルトラマン」の放送が始まり再び怪獣ブームは再燃します ウルトラQからウルトラセブンまでの放送期間、1966年から1968年までを第1次怪獣ブーム 帰ってきたウルトラマンからウルトラマンレオの時期、1971年から1975年までを第2次怪獣ブームとする見方が一般的であるようです 第1次怪獣ブームはそのまま「第1次ウルトラシリーズ」放送期 第2次怪獣ブームは「第2次ウルトラシリーズ」の時代であると言えます また第1次怪獣ブームは60年代、第2次怪獣ブームは70年代と明確な時代区分が出来ます また「仮面ライダー」の放送が1971年ですから、いわゆる「変身ブーム」も第2次怪獣ブームと同時に始まっています そしてこの「変身ブーム」、等身大ヒーローと怪人の時代も第2次怪獣ブームの終わりと同時に下火になっています 1977年から1979年、この時期は特撮、怪獣氷河期とも言える時代でした 80年代になって再び怪獣、ヒーローの人気が盛り上がってきますが第1次第2次怪獣ブームほどの大きなムーブメントではなかったように思います 80年代はアニメブームといえる時代で、特撮もアニメ人気に引きずられる形で盛り返していたように自分には見えました これが自分の見る「怪獣ブーム」のおおまかな流れであります 自分が1番怪獣に夢中になっていた子供時代は70年代前半、つまり第2次怪獣ブームだったのですが、今こうして見ると第2次怪獣ブームってたった5年しかなかったのか、と驚いてしまいます なんかものすごい長い時代続いていたような気がするんですが、これは子供にとっての5年は大人の何倍にも感じられる、ということからくるんでしょうかね? ものごころついたころから自分は既に怪獣に夢中になっていました 1967年生まれの自分は第2次怪獣ブームのスタート時期、「帰ってきたウルトラマン」の放送が始まった時は4歳となるわけですが、「帰ってきたウルトラマン」をリアルタイムでテレビで見ていた記憶がなんとなくあります ごく個人的な記憶の話で申し訳ないんですが 「金物製のお菓子の空き箱に怪獣のシールを張り付けて遊んだ」 「そのシールはガムのおまけで、サドラとデットンが戦っているところをシールにしたものだった」 というぼんやりした記憶が残っています ウルトラマンAやタロウになるともっと記憶がはっきりしてくるのですが、それでも自分はまだ4歳と言う赤ん坊からようやく子供へと移行する幼い時期に怪獣に夢中であったことが「サドラとデットンのシール」の記憶から伺えます もちろんそんな小さい頃は「帰ってきたウルトラマン」のストーリーなんて理解できませんでしたから、ただ怪獣とカッコいいヒーローがテレビに映っているのを見て喜んでいただけなのですが、その後小学生になって「帰ってきたウルトラマン」の再放送を見て「うわ!こんなに面白いストーリーだったのか!」と驚いたものでした 人間の幼児期の体験は大切でその後の人格形成に大きく関わるものだと言われていますが、自分はその大事な時期にただただひたすら怪獣にのめりこんでいたわけですね で、大人になった今でも怪獣が大好きでこんなブログを書いたりしてる訳です(^^; 第2次怪獣ブームについては書くべきこと、書きたいことがたくさんありすぎて1度には語りきれません これから少しづつ「怪獣ブログ」で語っていこうと思うのですが、今回は自分の遠い記憶「金物のお菓子の箱に貼ったシール」に関わっている2匹の怪獣、サドラーとデットンについて語ろうと思います サドラとデットンは、こうして戦っているのを見てわかるとおり1つのエピソードに同時に2体登場した怪獣であります ウルトラマンにおいても1つのエピソードに複数の怪獣が登場したことが何度もあります アボラスとバニラ、サイゴとキーラ レッドキングとチャンドラーとマグラとピグモンとスフラン レッドキングとギガスとドラコ 1話につき1体の怪獣が登場するというのが通例のウルトラシリーズ、怪獣番組において1話で2体、それ以上の怪獣が登場するのは子供にとってはとても豪華で嬉しいイベントです 「帰ってきたウルトラマン」では第1話からザザーン、タッコング、アーストロンと3体もの怪獣を登場させるという大サービスで子供たちを大喜びさせましたが、間に「タッコング大逆襲」をはさんでの第3話「恐怖の怪獣魔境」でまたもサドラ、デットンの2体の怪獣を登場させるという大盤振る舞いをしてくれたのです 「恐怖の怪獣魔境」のストーリーは、霧吹山という山で登山家がサドラに襲われるのですが、MATが調査に来ても霧が深く怪獣の姿は見つけられない、しかしウルトラマンである郷秀樹にだけはサドラの鳴き声が聞こえる 怪獣がいると主張する郷だが他の隊員は信じてくれない MATから孤立する郷、しかし加藤隊長は郷を信じ、1人で霧吹山に向かう そこにデットンが現れ、隊長は落石に巻き込まれそうになるが郷が救出 さらにサドラが登場し闘争本能からサドラとデットンは戦い始める 郷はウルトラマンに変身しサドラ、デットンという2体の怪獣と2体1のハンディキャップマッチを戦う と、いうものであります ウルトラシリーズではこれまで1話のエピソードで2体以上の怪獣が登場することはありましたが、それらの怪獣はウルトラマンと戦う前にお互いが戦い最後に残った1体がウルトラマンと戦うというパターンでした サドラ、デットンVS新ウルトラマンというハンディキャップマッチはシリーズ初のものでしたね その後「帰ってきたウルトラマン」ではグドン・ツインテールVS新ウルトラマンというハンディキャップマッチを再び繰り広げます その後もナックル星人・ブラックキングの最凶最悪のタッグによるまさにデスマッチともいえる戦いを新マンは戦いました 2体以上の怪獣を1人で相手に戦わなくてはならないヒーローというのは手に汗握るものです しかしサドラ、デットン戦ではデットンが途中戦意喪失して背中を向けて逃げだそうとするのですが、ウルトラマンに背後から攻撃され撃沈してしまいます そんな負け方をしたためにデットンは「負け犬」、「弱虫」みたいなイメージがつきまとっちゃいますねw さらにデットンは「テレスドンの弟」という設定なのですが、その着ぐるみはテレスドンの劣化したスーツを再利用しています しかしあまりに劣化しすぎて変色し、表面はボロボロ、とてもあのカッコいいテレスドンだとは思えないほどのありさまで正直カッコ悪いです 弱いうえに見た目もカッコ悪く、デットンはあんまり人気がありませんでしたね 自分も「デットンはちょっとヒデえよなあ・・・」と思っていました ただこのデットン、意外に好きだと言う方も多いようです ダメな子ほど可愛い、ってことでしょうか?w ん?なんかこうして改めてみるとデットン、けっこういいかも? このグダグダ感はデッドン意外には出せない個性ですね(誉めてないよ) 対してサドラはというと、これがもうカッコいい! 正統派ストロングスタイルの怪獣でありつつ、なんだかシャープでスタイリッシュで、独特のユニークさを併せ持った大怪獣です 頭の角は水平に横に突き出ていてこれまでになかった洗練されたデザインセンスを感じさせます 長い首に長い尻尾はダイナミックさを感じさせ、さらに両手は大きなハサミ、このハサミがギザギザでものすごく危なそう! こんなハサミで挟まれたらさぞかし痛いだろうなあ、なんて考えるとゾッとしてしまいます サドラの名前は「サド」から来ているのだろうか? この痛そうなハサミを見ているとそんな風に思えてきちゃいますね サドラをデザインしたのは池谷仙克氏、いうまでもなくあの成田亨の1番弟子であり、成田氏がウルトラシリーズから降板した後を引き継ぎ、第2次ウルトラシリーズを牽引した偉大な怪獣デザイナーであります このサドラは池谷氏にとって師匠成田亨へのリスペクトの意味が込められた怪獣ではないかと自分は感じています つまりサドラは池谷版レッドキングではないかと? 成田亨が生み出した傑作怪獣レッドキング 誰もが認めるウルトラシリーズを代表する怪獣です その勇猛たる怪獣美を池谷氏は「自分ならこうデザインする」として生み出したのがこのサドラであるような気がするのです 長い首、体の段々、長い尻尾 サドラのプロポーションはレッドキングにそっくりです デットンがテレスドンの弟ならサドラはレッドキングの弟といっても通用しそうです またレッドキングと並び成田デザイン怪獣の代表であるバルタン星人 バルタンの大きな特徴はなんといっても両手の大きなハサミでありますが、サドラの両手も同じくハサミです レッドキング、バルタン星人という2つの名怪獣のもつ要素を併せ持った怪獣サドラ 師匠成田氏の怪獣デザインに敬意を示し、池谷氏が自分なりに消化、構成していった怪獣がサドラではないか? そしてサドラは池谷氏がウルトラの仕事を離れて行った師匠成田亨に向けたメッセージではないだろうか? 「あなたの教えを受けて、自分はこの怪獣を作りました」 「自分はこれだけの怪獣を作り出せるほどになったのです」 「ウルトラ怪獣は安心して僕に任せてください」 というような・・・・・ サドラからは池谷氏の意気込み、師匠に追いつき追い越そうと言う意志が感じられてきます 全部自分の妄想に過ぎず、まったく見当はずれなのかもしれませんが、自分はこのサドラという怪獣は怪獣デザイナー池谷仙克の強い自信のようなものが伺えてくるのです 池谷仙克から成田亨への回答 それが池谷版レッドキング(+バルタン星人)ともいえる、このサドラという怪獣なのではないか? そう思わせるくらいにサドラは堂々としたみなぎる自信を感じさせる怪獣です 今回、実は「第2次怪獣ブームにおける池谷仙克の功績の大きさ」について語るつもりだったのですが、予想以上に長くなってしまいそうなので、それについてはまた次回書くことにします またコメントの返信が遅れてしまって申し訳ありません これから少しづつレスしていきますのでもう少々お待ち下さいませ #
by pulog1
| 2010-02-04 17:51
自分は80年代、多くの怪獣ファン、特撮ファンがそうだったように朝日ソノラマの特撮専門誌「宇宙船」の熱心な読者だったのですが、その「宇宙船」には「SUPERLAB」、スーパーラボという記事が連載されていました スーパーラボの「ラボ」はLaboratory、つまり研究所の略でスーパーラボは「超研究所」とでもいう意味ですね ゴジラ映画やウルトラマンを見ると冒頭のクレジット画面で目にするキヌタ・ラボラトリーはみなさんおなじみですよね キヌタラボラトリーはフィルムの現像所でありますがLaboratoryには「現像所」の意味もあるのかと思いエキサイト翻訳で調べてみたところ現像所は「Processing station」でした あれ? それはともかく「宇宙船」のスーパーラボ この連載では「特撮に登場した怪獣やメカなどを徹底的に研究する」という趣旨のものでした 記憶が曖昧なのですが連載第1回目で取り上げられたのはウルトラセブン第20話「地震源Xを倒せ」に登場した核怪獣ギラドラスでしたね ギラドラスはシャプレー星人に操られる怪獣で地底の奥深く、マグマの満ちた地球の中心、核と言われる場所にいて、地表近くまで移動すると地殻変動を起こし地震を発生させる怪獣です サブタイトルの「地震源X」というのはこのギラドラスのことなんですよね 地球の中心でしか存在しないウルトニウムという鉱物(架空の鉱物です)を食べ、体の中には血の代わりにウルトニウムの結晶が詰まっているんですよね そしてギラドラスが地上に現れると天候が変化し、空は黒い雲に覆われ激しい猛吹雪を発生させるのです 姿を現すだけで嵐を巻き起こすなんてすごい怪獣です セブンの怪獣の中でもなかなかの強敵と言うイメージがありますね そんなギラドラスをスーパーラボでは徹底的に研究しレポートしていたのですが、その内容を読んでびっくりしてしまいました 「ギラドラスこそ最強の地底怪獣である」 とそのレポートは切りだすのですが、特撮番組では数多く登場する地底怪獣のなかでゴモラ、テレスドンなど人気怪獣を押しのけてギラドラスこそが最強であると論じるスーパーラボ 一体なぜギラドラスが最強だと言い切れるのか? スーパーラボはまずギラドラスの体形から論じていきます ページには大きくギラドラスの三面図が描かれていたと記憶しています ギラドラスの全身を横から、前から、後ろから見た図だったと思うのですがちょっと記憶が曖昧 しかし横から見たギラドラスの全身図は確かあったはずです その図を見せられないのが残念ですがギラドラスは四足歩行怪獣ではあるのですが、その体形はアザラシやトドなどの水陸両生動物に似ています 地底を掘り進む大きな手などは見当たりません どちらかというと地底と言うより海に適応した体であるように見えます これなら大きな手を持つゴモラ、テレスドン、モングラーやパゴスのほうが地底に向いているようなのですが、スーパーラボはこの体形だからこそギラドラスは地底の王者たりえるのだと切りこんでいます アザラシ体形のギラドラスがなぜ地底最強なのか? この体形でどうやって地底を掘り進むのか? スーパーラボは続けます ギラドラスは地底を掘り進むのではない 地底を泳ぐのだ!・・・・・と ギラドラスは地底と言っても土に埋まっているのではなく地球の中心、マグマでドロドロの核の部分を主な活動場所にしています マグマの中では「掘り進む」のではなくむしろ「泳ぐ」ほうが活発に行動、移動が可能です 泳ぐことに特化したように見えるギラドラスのアザラシ体形はマグマの中では理想的なものであります なんという説得力! ギラドラスが地底最強の怪獣というのは深く納得がいきました しかもゴモラ、テレスドン、パゴスのように地底の土の部分、地表の表面近くではなく灼熱のマグマの中で生きているギラドラスはそれだけで他の地底怪獣以上のスケールを感じさせます しかし・・・・ マグマの中では最強とも思えるギラドラスですが、地表近くまで移動するのはどうするのだろう? 土を掘り進むために必要な大きな手がギラドラスには見当たりません ギラドラスの手はアザラシみたいにヒレ状になっているのです こんなヒレではうまく土を掻き出すことは難しそうです マグマから土へと移動すると途端に鈍重になってしまうように思えます しかしスーパーラボはギラドラスの手が土を掘ることに適していないことなどまったく問題ないと断じます なぜなら・・・・・ ギラドラスは土を掘るのではない 溶かすのだ!・・・・・と ギラドラスの頭、およびあごの部分には赤く発光する角が生えています 水牛の角を真ん中あたりで切断したようなユニークな形状の角です この角は高熱を発し、土をドロドロに溶かしギラドラスは液状になった土、すなわちマグマの中を泳いで進み地表へと到達するのだ! 土どころか巨大な岩、盤石な岩盤であろうと、ギラドラスは難なく溶かし、悠々と泳いで移動するのである なんと!ギラドラスは「土を掘る」必要さえないのです! その角から発する高熱で土も岩もおそらく鋼鉄でさえドロドロに溶かして移動する その移動方法は他の地底怪獣とはまったく次元の違うものなのです すごい! ギラドラスやっぱ地底怪獣最強だ! スーパーラボはさらにギラドラスの角が高熱を発する根拠としてギラドラスが地上に現れると嵐が起こることを挙げてこのように説明しています 高熱を発するギラドラスの角は地表に現れると空気が急激に熱せられ、空気の中に含まれる水分が一気に蒸発 気流となって空に上昇していきます 蒸発して水蒸気となった水分は今度は空で急激に冷え、雲となり空を覆い尽くし、そしてさらに冷えることにより雪となって地上に降る ギラドラスが地上に現れたことによって発生する嵐、猛吹雪は全てをマグマに変えてしまう灼熱のギラドラスの角により科学的に説明出来るのです そうだったのか! ギラドラスが現れたとき嵐が発生したのは「天候をコントロール出来る超能力」を持っていたのではなく、理科の授業で習った水の蒸発と雲の発生、雪が降ることのメカニズムで説明できることだったんだ! ギラドラスって、なんて科学的でリアルな怪獣なんだろう! スーパーラボのギラドラス・レポートは読んでいて非常にワクワクしてしまうものでした これまで怪獣は「現実には存在し得ない、空想の中だけの存在」だと思っていました 怪獣は真剣に考えると現実的にはありえないものばかりです そこが子供から大人になる過程で「バカバカしい、こんなもの現実にありえねーよ」みたいに思って多くの人は「怪獣離れ」してしまうのです 怪獣はまだ現実と空想の区別が曖昧な子供のためのもの 現実について理解し始めた大人にとっては、それこそ「子供じみている」と見なされるものです そこが大人に成りかけの自分、子供とは言えないけれど大人にもなりきれていない自分にとっては歯がゆく、悔しいところでありました しかし大人に「怪獣」の良さを理解してもらうのはやはり難しいものです だって確かに大人の言うとおり怪獣は「現実にはありえない」ものですから・・・・・ 「現実的」ではないことのどこがいけないんだろう?と思いつつもあまりにリアリティに欠けた怪獣を見ていると 「いつまでも怪獣が好きなままじゃ大人になれないのかな?」 と思って怪獣が好きな自分というものに引け目を感じていたのも事実です 怪獣は現実に存在していなくてもかまわない でも、もうちょっとリアルでいてくれないかな? そんなふうに感じていたとき読んだスーパーラボのギラドラス・レポートを読んで 「なんだ!怪獣ってすごいリアルじゃん!」 と嬉しい気持ちになったのです この記事のように怪獣を徹底的に研究していくとギラドラスの他にもリアルで大人に見せても恥ずかしくない怪獣がどんどん出てくるんじゃないか? スーパーラボではギラドラス・レポートに続き「地底怪獣を科学的に検証する」という方針でいくと宣言していました 次はどの地底怪獣が研究されるんだろう? 自分はこの「宇宙船」のスーパーラボにおおいに期待し、次の連載を楽しみにしていました そして次のスーパーラボで取り上げられた怪獣は確かゴモラだったと思います ゴモラはギラドラスほどのハイパーな地底怪獣とは言えないかもしれませんが、それでもその体形は地底怪獣としての説得力を十分感じさせるものだったのです その大きな手はもちろんシャベルのように土を掻き出すため、頭の角、そして鼻の頭の角は岩などの障害物を取り除いたり粉砕するため、お腹にびっしりと生えたトゲ、ザラザラしたあのゴモラの腹は地面を上に向かって掘り進んでいるときに下に滑り落ちないための滑り止めの働きをしているのです さらにゴモラのシンボル、巨大で長く太い尻尾は地底を掘り進むときにグルグルと回転させ、推進力を高めるものと説明されました やっぱゴモラはすげえリアルな怪獣だったんだ! ゴモラのあの姿はただ怪獣としてのカッコよさを狙ったものではなく「地底を効率的に掘り進むことに特化した機能的デザイン」であったのです! すげえ! 怪獣が子供だましなものか! こんなにもリアルで科学的で、生物的で実際に存在してもおかしくないものなんだ! スーパーラボは自分が怪獣に対していた引け目を払拭してくれる素晴らしい記事でした またまた次の連載が楽しみになりました その次のスーパーラボは・・・・・・実はよく覚えてません 研究された怪獣はパゴスだったかな? パゴスの三面図を見たような記憶があるのですが、なんだか曖昧です パゴスが地底怪獣としてどれほど説得力のあるものだったのか? その辺がよく覚えていないのです もしかしたら記事の中でパゴスに説得力を持たせることにうまくいってなかったのかもしれません あるいはパゴス・レポートが掲載されていたというのは自分の記憶違いかも知れません そして自分の記憶によるとスーパーラボの連載は長く続くことなく終了してしまったようです 「スーパーラボ、終わっちゃったのか・・・・」 と落胆した気持ちでいる自分をなんとなく記憶しています ギラドラスやゴモラのように、強い説得力を感じさせる地底怪獣というのは他にいなかったのかもしれません でも本当にそうだろうか? もしかしたらよく見ると「現実にいてもおかしくないようなリアルな地底怪獣」がいたんじゃないか?という気持ちが今でもあります じっくり観察し、検証したなら、それが大きな説得力を放ち、現実の生物と比較してもおかしくないくらいのリアル怪獣がいたんじゃないかという気持ちがありますね こうした「怪獣をリアルに検証する」という姿勢はもっとあってもいいんじゃないか? 自分は今でもそう思ってます このスーパーラボの怪獣研究とはちょっと違った形で「怪獣のリアル」を追求したのは平成ガメラシリーズに登場したガメラの敵怪獣でしたね 平成ギャオスは「実際の鳥類のもつ習性」を反映したリアリティを備えた怪獣でした レギオンはその形態はリアルとは言えないかも知れませんが、電磁波を発し、シリコンを食料とするという架空の生物を徹底してリアルに緻密に表現し、もしこのような性質をもった生物が現実に現れた場合、人間とその社会はどのように混乱するのか?といったシミュレーションを映画の中で表現していました イリスは見た感じではあまりリアルではないように思えますが、でも深く追求したら現実的な説得力を備えた怪獣であるのかもしれません まあでもイリスは逆に「現実には存在し得ない、理解不能な生物」として表現されていたように思えますが・・・・ これら平成ガメラ怪獣は非現実として生み出された怪獣を現実的な見地から検証した結果、そこにリアリティと説得力を見出すことが出来た、というスーパーラボとは逆に、最初から「出来るだけリアルに見える、説得力のある怪獣として考えられた」というものですが、しかし平成ギャオスもレギオンも、ギラドラスやゴモラと同じくらいにリアリティーを感じられる怪獣だと自分は思っています 非現実の存在である怪獣に説得力、リアリティを見出すことは難しいことです 実際、近年の特撮やアニメを科学的に検証してみるという試みの多くの出版物においては怪獣はその根底から存在を否定されてしまいます そもそもあんなに巨大な生き物は自分の体重が重すぎて1歩も動くことが出来ない 科学的に怪獣を検証するとそういうことになってしまうようです でも・・・・「怪獣なんて現実にはありえない」で終わってしまうのはちょっと寂しい気がします 「怪獣は実在する」 とは言いません でも 「こういう怪獣は実在してもおかしくないんじゃないか?」 って思うのは楽しいことだと思います 徹底的に現実的に、科学的に怪獣を検証したら、やはり「怪獣は現実には無理」という結論に達してしまうかもしれません 非現実であり、なんでもありな怪獣は逆に現実と言う壁の前では限界があります それは十分わかっています でも、そんな現実の1歩手前、科学とは言えないかもしれないけれど科学の1歩手前くらいで、ギリギリ現実に近い視点で怪獣を見てみるのは面白いんじゃないかと思います 怪獣が現実ではないのは仕方ないけれど、現実を念頭に置いて出来る限りリアリティを追求する そういう視点で怪獣を見てみること、またそういうリアルさを追求して怪獣を生み出すこと 非現実のままで怪獣を終わらせないという姿勢を自分は求めてしまいます 「怪獣なんてありえない」 ではなくて 「怪獣なんてありえない、でも・・・・」 この「でも・・・・」の部分が自分はもっと欲しいと思っちゃいます PS:ギラドラスを操っていた宇宙人シャプレー星人 このシャプレー星人がカッコよくて自分は好きですねー なんといってもその頭部のデザインが秀逸! カラオケでは手放せないマイクそのものの形なんですが、すごい未来的というか宇宙的というか・・・・ とにかくカッコいいと思ってしまいます 傑作揃いの成田デザインの宇宙人の中でも、さらに抜きんでたものではないでしょうか? このシャプレー星人的な感覚をさらに成田氏は追求し「円盤戦争バンキッド」のブキミ星人のデザインにおいてそれは反映されていったのではないかと思いますね ブキミ星人のデザインは自分の仕事には厳しい成田氏も「気に入っている」と公言するものでした マイナーですがブキミ星人のデザインはユニークで素晴らしいものばかりです #
by pulog1
| 2010-01-06 18:19
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