原子怪獣現る
日本における怪獣の神様が円谷英二ならアメリカのモンスターゴットはレイ・ハリーハウゼンであろう。
ハリー・ハウゼンのデビュー作にして、怪獣映画の元祖「原子怪獣現る」は、「怪獣」の、また「怪獣映画」の本質とも言える作品。
「ゴジラ」はこの映画に「反核」という重いテーマと思想を上書きした作品といえる。
そうした上書き無しで純粋に「怪獣映画」である本作。
この映画で描こうとしては驚異、自然の猛威、怖るべき異性物、という怪獣の本質そのもの。
余計なものは一切無い、ただひたすら「怪獣」だけを撮った作品だ。
これが怪獣の基本であり始まりである。
ハリーハウゼンによって命を吹き込まれたリドサウルスはゴジラの先輩であり、すべての怪獣の父ともいえる存在。
巨大な遊園地、今で言うテーマパークで向かえる最期は怪獣映画史上屈指の名シーン。
燃え盛る炎の中で、大きな咆哮をあげながら、その巨体を地面に横倒しにして倒れるリドサウルスには、たんに恐ろしい敵を倒した喜びよりも、大いなる存在の最後と言う物悲しさを感じさせ誌的である。
この辺は原作「霧笛」を書いたSF詩人、レイ・ブラッドベリの色が出ていたのかも知れない。