恐竜戦車

ウルトラセブンに登場した恐竜戦車はかっこいい！
新型火薬兵器スナイパーをラリー車に乗せて輸送するダンとアマギ隊員。
それを奪おうと狙うキール星人。
スナイパーは無事輸送に成功するが、キール星人は最後の切り札「恐竜戦車」を送りこみ、スナイパーを奪おうとする！
ダンはセブンに変身して、恐竜戦車を迎え撃つ！
この恐竜戦車、強力な尻尾攻撃、目から発射する破壊ビーム、戦車部分から発射する弾丸など、多彩な攻撃でセブンを苦しめる強敵だ。
しかし我らがセブンは見事恐竜戦車を倒し、スナイパーも無事でめでたしめでたし。
さらにアマギ隊員はこの輸送作戦の過程で自分の爆弾に対する恐怖感、トラウマも克服する大円団でドラマは幕を閉じる。
ああ、セブンは面白いなあ。
恐竜戦車もかっこよかったなあ。
番組を見終えて俺は思う。
が、しばらくして、ふと疑問が頭をよぎる。
「あれ？なんで俺は恐竜戦車をあんなにかっこいいなんて思ったんだろう？」

よく考えると、恐竜戦車ってそんなにかっこいい怪獣だろうか？
ただ恐竜が戦車に乗っただけの怪獣じゃないか？
たったそれだけのことなのに、なぜあんなにかっこいいと思っちゃったんだろう？
砲台の無い戦車のキャタピラーの上に乗った、怪獣というにはあまりにオーソドックスで特徴の無い「ただの恐竜」としか言えないようなやつ。
「恐竜戦車」の戦車に乗った恐竜は、戦車が無ければあまりに「普通」すぎる。
しかし、最大の特徴である「戦車の上に乗っている」というスタイルのために、なぜかはしらないけど無性にかっこよく見えてしまうのだ。
戦車に乗ってさえいればいいのか？
そんなはずは無いのだが、不思議に「戦車の上に乗っただけの特徴の無い恐竜」はむやみやたらとかっこいい。

恐竜戦車の不思議はまだある。
なぜ、「怪獣戦車」ではなく「恐竜戦車」なのか？
怪獣と呼ぶにはあまりに特徴が無いので遠慮があったのだろうか？
怪獣は言過ぎだが「恐竜」なら納得してもらえるんじゃないか？
そんな風に思って名づけられたネーミングだったのだろうか？

そして、なんでまた戦車なんかに乗っているんだろう？
戦車に乗ったほうが機動力が発揮され、すばやく移動出きるというのだろうか？
そうかなあ？
戦車のスピードなんて、そんなに対したもんじゃないと思う。
恐竜の移動力と、そう対して変わらないような気がする。
戦車の乗っている意義が見出せない。

さらに恐竜戦車って恐竜なのか？戦車なのか？
まあ、その両方が合体したからこその「恐竜戦車」なのだというのはわかるが、この恐竜戦車を「恐竜」としてみるのか「戦車」として見るのかで、見方は変わってくる。
戦車に乗った恐竜なのか？恐竜を乗せた戦車なのか？
それに、これはなんとなくこう思うのだが、恐竜戦車って恐竜部分と戦車部分が分離できないような気がしてならない。
なんかくっついていて、２つを引き離すことは出来ないんじゃないだろうか？
戦車と恐竜が融合してしまった、メカと生物のハイブリット、それが恐竜戦車であるような気がしてならないのだ。

そして「恐竜戦車」は名前として受け取って良いのか、それともそういう製品名なのか？
怪獣には名前ってもんがある。
宇宙竜ナース、宇宙ロボット・キングジョー、冷凍怪獣ガンダー。
でも「恐竜戦車」ってのは、「宇宙竜」とか「宇宙ロボット」、「冷凍怪獣」にあたるもので、その下の名前の部分が無いように思える。
なぜだ？
なぜ恐竜戦車には名前がないんだ？
ただ恐竜が戦車に乗っているだけという工夫の無さから、名前なんか名乗るのはおこがましい、なんて思ってるんだろうか？

恐竜戦車は深く考えるとよくわからなくなってくる怪獣だ。
しかし、それでも俺は恐竜戦車をかっこいいと思うし、大好きである。
なぜそう思うのか自分の気持ちがわからない。
しかし、やっぱり「恐竜が戦車の上に乗っている」という、その１点のみで、こいつはたまらなく魅力的な怪獣なのである。

戦車単体、恐竜単体で見たら、こんなに好きになるはずはないのだ。
しかし不思議なことに、この２つが融合することにより、こいつはかっこよくなってしまうのだ。
わからない・・・・・・怪獣大好きで、もう怪獣ばかり見ていた、怪獣のことばかり考えていた俺でも、怪獣にはわからないことが多すぎる。
怪獣とはなんて奥が深いんだろう？
でも、だからこそ怪獣は面白い。
どんなに探求しても、まだまだわからないことが出てくる、底の深いものなのだ。
時間があればいつまでも怪獣のことばかり考えていたい。
そしてまた新たな謎に突き当たり、その謎の答えを求めて、果てしなく怪獣探求の旅を続けていきたい。
出来ることなら、その怪獣探求の旅には、恐竜戦車の背中に乗って、どこまでも遠く、進んでいきたいと思う。